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「かぐや姫の物語」のメッセージとある日の天声人語の共通点。
- 2014-01-13 (月)
- 魂がふるえた
かぐや姫の物語、見ました。あの衝撃をどう言葉で表現したらよいのか、しばらく頭の片隅で悩ませていたのですが、偶然、前日の天声人語を読んでいたら、驚くほどの共通点がありました。 まずは、全文引用します。
一昨年、97歳で亡くなった詩人の杉山平一さんに、「通過」という詩がある。たった3行の作品だ。〈急行にのって駅を通過するとき/ベンチに腰かけている人がチラリと見える/その人を私のように 思う〉▼自分の人生は急行ではなく鈍行列車のようなものだ。そんな感懐だろうか。この詩の内容を紹介しながら、脚本家の山田太一さんがきのう本誌オピニオン面で語っている。「ぼくは、各駅停車の駅にいる人が、豊かでかっこよく見える」と▼プラスとされている価値でなくマイナスとみられることが実はしばしば「人間を潤している」と山田さんはいう。「災害や病気を経験している人とそうでない人とでは、人間の差が生じていると思います」。長年、漫然と日々を送ってきた身には、ぐさっと刺さる言葉である▼艱難、汝を玉にす。仮に、そんな経験を封じられたらどうなるか。英国の小説家オルダス・ハックスリーの『すばらしい新世界』。舞台は未来の「ユートピア」である。人びとは試験官で「製造」される。厳しい階級社会だが、薬や教育によってだれも不満や疑問を持たずに幸せに生きる▼一見楽園でも実はがんじがらめの管理社会。外からきた「野蛮人」はその本質を見抜き、統治者に向かって言う。「わたしは不幸になる権利を求めているんです」。病気になる権利も、不安や苦悩に苛まれる権利も、それらすべてを要求する、と▼生きるのは実際、楽ではない。鈍行でいいから、えっちらおっちら行ってみよう。 (2014年1月10日付 天声人語)
僕は、ここに書かれているようなことが、高畑さんが伝えたかったテーマではないかと想像しました。
共通点
「すばらしい新世界のユートピアに住む人々」は、まさに、あの大仏様(笑)はじめ、月からやってきた陽気な楽団そのものなのでは。仮面をつけたような、生気のない笑顔が印象に残っています。
そして、「薬や教育によってだれも不満や疑問を持たずに幸せに生きる」見せかけの幸せに疑問を感じ、地球に憧れるかぐや姫。
美しい自然とのふれ合い、捨丸兄ちゃんやみんなとの楽しい日々も、都での辛い日々、帝に抱きしめられ身をすくめた経験、全部ひっくるめて、「わたしは不幸になる権利を求めているんです」と言わんばかりのかぐや姫は、物語の最後で帰りたくないと泣き叫ぶ。
映画を見終わってモヤモヤしていた僕の頭にすっと入ってきたのは、そのシンクロ性からでしょう。
メッセージ
そのメッセージを、失礼とは思いながらも短い言葉でまとめてみました。
- いま毎日を大切にすること
- 自然の美しさに気づくこと
- 辛さにさえも飛びこむこと
- 本当に大切な人といること
- 自分だけの幸せを探すこと
「災害や病気を経験している人とそうでない人とでは、人間の差が生じていると思います」
これを書いた筆者の方と同じように、のほほんと生きてきた身には痛い一言ですが、絶望を味わったからこそ感じられる、何気ないものから得られる感動があるのだと思います。
ことばにできない
と、天声人語との共通点ということで書いてきましたが、映画の素晴らしさも伝えたい。でも、やっぱり文章にできない。‥‥その感動は「語り」でどうぞ。
注)僕は、車で移動中なんかに何か思いつくと、iPhoneのレコーダーで録音する習性があります。
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