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ビジネスマンのための「行動観察」入門 著:松波 晴人
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- 2012-09-17 (月)
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HCD系のセミナーで紹介されていたんだったかな?ちょっと覚えがないですが、お知り合いに勧められ読んでみました。
『ビジネスマンのための「行動観察」入門』というタイトルの、およそ堅そうで一見すると面白みのなさそうな本。
ですが、第3章の見出しに「行動観察は科学である」とありますが、個人的に「行動観察はエキサイティングである」と言いたいです。
それくらい読んでいてワクワクしてくる内容なんです。文体もカジュアルで読みやすいというのもよかったです。
「現場」からしか生まれない?
まず行動観察のエッセンスを、第1章の大量に貼られた付箋の中から拾います。
新しいアイデアは、見ること、嗅ぐこと、聞くこと ?つまりその場にいること? から生まれる
クリエイティブは、パソコンの前にいるだけじゃあ何も生まれない?実際、そう感じることがあります。外から抽象的な話がボンっと降ってきて、パソコンと向き合い呆然とする・・みたいな話。そんな時は、現場で話を聞くと解決することがほとんどです。
以前読んだ西條剛央さんの本でも、役に立つ良いアイデアは、震災の現場で得られたことがきっかけとなっていることがわかります。
「観察」は誰もが日常的に行っている「他人の行動を見ること」と似ているようでかなり違う。様々なフィールドで多くの気づきを得るためには、ただ人の行動を見ているだけでは不十分である。
君は観察(observe)をしていない。ただ見ている(see)だけだ。わたしが言いたいのは観察するのと見るのとは全然違う、ということだ。(シャーロック・ホームズ)
もう、ただただ「なるほど〜」と。どうすれば観察する力が身に付くのでしょうか。
あと、興味深かったのが、「目的」が付加されることで「見ている」を「観察する」にすることができるんだな〜ということです。
言語化されていないニーズやノウハウを抽出できること
だれもがそうだと思います。「自分のことは自分が一番知っている」なんて大きな間違い。自分の行動を論理的に説明できないなんてざらですね。聞いても出てこないニーズは「観察する」ことで見つける。
大きく「ものづくり」をするということについて、「行動観察」がどれほど重要かわかります。
つづいて事例
その後は、著者である松波さんの実体験に基づいて、行動観察の具体的な手法や成果が紹介されています。
読んでいて感じたのが、「行動観察」からなにかしらの収穫を得るには、観察者の知見・バックグラウンドが大きく影響してくるということです。
具体例を少し引きます。
- プロスペクト理論=人は得をすることより、損をすることを過大に評価する。
- 人間は「人の顔」への感度が高い。
- マジカルナンバー=人間の一度に処理できる情報の量は7±2
- 人は「自己評価より他者評価の方が低い」
という具合で、次々と・・。
この知見と現場での気づきを掛け合わせて、問題解決の仮説が立てられます。これらを知っているかいないかで、気づきの質、出てくる仮説はまったく違ってくると思います。
人間についての知見をもつ
つまり、行動観察には、「人間について知ること」が重要です、と。
- 人間工学
- エスノグラフィー
- 環境心理学
- 社会心理学
このようなものが挙げられていました。これからのクリエイティブ、なかなか覚えることが多そうですねw
「現場」からはじまること
一枚だけ飛び出た付箋。ここが一番こころに響きました。
著者が実際に現場の方から聞いたお話だそうです。
「行動観察のなにが素晴らしいって。そのスタンスですね。普通、現場改善を依頼すると、上から来るでしょう。これでやれ、って。それが行動観察研究所の場合は我々に寄り添ってくれる。これはありがたいですよ。」
現場のひとの気持ちを考えたらなるほどとうなずける内容です。働いているのは現場にいる人がほとんどです。その人たちを置き去りにすることなく、目的に近づける「行動観察」というものの魅力を再認識しました。現場スタートの、付加のない改革ができるというのが行動観察のよいところの一つなのだと思いました。
ということで、クリエイティブの世界に行動観察を・・。ものづくりに関わる人にもためになる本です。
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